2015/02/10    14:00

オバマ大統領「キリスト教徒だって十字軍をやった」と発言 イスラム・テロの解決に必要な「歴史を見る目」

シリアやイラクで勢力を広げる、いわゆる「イスラム国」の台頭を受けて、アメリカを軸としたテロとの戦いが、再び本格化している。
 
日本も蚊帳の外で見ているわけにはいかないということは、2人の日本人人質が殺害された事件ではっきりした。安倍晋三首相も、「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」と表明し、日本の首相としては異例とも言える強い言葉で「イスラム国」を非難。アメリカなども支持を表明した。
 
暴力的な手段で勢力を広げようとするテロ組織を、許しておくわけにはいかない。しかし一方で、「イスラム国」を軍事的手段で壊滅させたところで、イスラム過激派によるテロの問題がなくなるわけではない。ナイジェリアのボコ・ハラムなど、反欧米を掲げるイスラム過激派は各地にはびこっており、「イスラム国」以降も次々とテロを起こす組織が登場するだろうことは、目に見えている。
 
問題を難しくしているのは、過激派によるテロの問題が、キリスト教とイスラム教という二つの文明の衝突という歴史的な背景から起きていることだろう。テロ組織の台頭は、欧米諸国が「白人優位主義」のもとにイスラム圏を含めた、アジア・アフリカを植民地化したことへの反発の意味合いも含んでいる。残虐なテロを封じ込める努力は必要だが、一方で、欧米諸国が植民地主義の歴史について振り返ることがなければ、長期的には問題は解決しないのではないだろうか。
 

「キリストの名において正当化された罪もある」

そうした意味で注目されるのは、オバマ米大統領がこのほど行った興味深い発言だ。5日に行われた「全米祈りの朝食」での演説で、信仰のもとに暴力を正当化するイスラム過激派の問題を指摘しつつ、十字軍や奴隷制といったキリスト教国の過ちについても言及したのだ。

信仰者として、私たちはどのようにこうした現実を調和させることができるでしょうか。奥深い善、力、強さ、慈悲や愛が、我々すべての信仰から流れ出る一方で、殺人的な目的のために宗教を乗っ取る者たちもいるという現実です。
 
人類は歴史を通じて、これらの質問に取り組んできました。私たちが威張って、この問題を他人事だと考えないように言うとすれば、忘れてはならないのは、十字軍や異端審問を通じて、人々がキリストの名において罪深い業を犯したということです。私たちの祖国でも、奴隷制やジム・クロウ(黒人を差別する法律)は、たいていキリストの名において正当化されました。
 
ミシェルと私は、素晴らしい多様性に満ちた、信じられないくらい美しい国であるインドから帰ってきました。しかし、インドでは長年にわたって、様々な宗教信条を持つ人々が、単に彼らの伝統と信仰ゆえに、他の信仰を持つ人によって攻撃される出来事がたびたび起きてきました。インド解放を助けたガンジーがショックを受けるであろう不寛容な行いです。
 
ですからこれは、特定の人々や宗教に特有の問題ではないのです。私たちには、信仰を悪用したり歪曲したりする、罪深い傾向性があるのです。
(White House “Remarks by the President at National Prayer Breakfast” 2015/02/05)

この発言に対しては、共和党議員らがさっそく、「大統領は、アメリカの価値観を信じていないのか」などと批判している。確かに、「イスラム国」の掃討を目指す米軍の指揮官としては、頼りない発言に映るかもしれない。しかし、欧米諸国も植民地主義のもとに侵略行為を働いてきたことは事実であり、歴史を顧みることがなければ、渦巻く欧米への反発もテロも収まることはないだろう。

先月起きた仏週刊誌の襲撃事件では、「表現の自由を暴力から守れ」という大合唱が起きた。言論に対する暴力を見過ごすわけにはいかないが、一方で、「表現の自由」の名のもとに、マスコミが宗教を冒涜して人々の心を傷つけることも自由なのだろうか。「表現の自由」が重要であることは言うまでもないが、それをどんなことをしても許される免罪符のように喧伝すれば、間違いが起きる。
 
テロを掃討する作戦はもちろん重要だが、相次ぐ過激派による事件が提起している問題にも気づく必要があるだろう。それは、欧米による植民地主義の歴史や、基本的人権といった欧米的な価値観を絶対のものとして世界に押し付けてきたことが正かったのかどうかといった反省である。テロの封じ込めを進めつつも、こうしたフェアな視点を持つことが、この問題を長期的に解決するための出発点ではないだろうか。

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