2017/02/24    10:37

オバマ大統領(当時)が昨年12月に安保理決議2234号を棄権した理由

米国でトランプ大統領が誕生するや、それを待ち望んでいたかのように、イスラエル政府は僅か2週間余りでパレスチナ領土に入植地に6000戸の住宅の建設を許可した。8年間のオバマ前大統領の政権下ではイスラエルは入植が容易には実施できなかった。オバマ前大統領がそれはパレスチナとの和平合意に至るのをより難しくするとしていたからである。
 
そうは言っても、米国は常にイスラエル側についてパレスチナと和平を結ぶ為には未解決の状態が長く続いていた。米国の暗黙の姿勢を利用して、イスラエルは入植を繰り返し、住居の建設を続けて来た。それを法的に否定して入植活動の停止を義務づけたのが国連による決議2334号である。しかし、これについても、安保理で新たに案が出されても米国はこれまで拒否権を行使して、この新しい決議案を否決して来た。
 
しかし、昨年12月23日に、あとひと月の政権となったオバマ前大統領はこの拒否権を行使することを否定してニュージランド、マレーシア、セネガル、ベネズエラが提案した決議案を安保理で棄権するだけに留めたのである。よって、安保理で14か国が賛成し、反対はなし、そして棄権が米国ということになり、この4か国によって提出された決議案が初めて承認されたのであった。賛成した国はスペイン、ロシア、フランス、英国、中国、日本、エジプト、ウルグアイ、アンゴラ、ウクライナ、セネガル、ベネズエラ、マレーシアの14か国であった。
 
当初、エジプトがこの提案を提出する予定であった。しかし、ネタニャフ首相の要請を受けたトランプ次期大統領(当時)がシシ大統領と電話会談を行い、この提出を断念させた。エジプトは米国から長年軍事費の支援を受けている関係からトランプ氏はシシ大統領を容易に説得できた。それを知った上述4か国がエジプトに代わって早速その提案をすることにしたのであった。この経緯をオバマ前大統領は事前に察知し、黙認していたようである。
 
イスラエルが1967年の第三次中東戦争で占領したパレスチナ領土での入植を米国の歴代大統領は許して来た。しかし、今回オバマ前大統領は米国のこれまでの慣例を初めて破り、イスラエルのヨルダン西岸地区と東エルサレムでの入植に反対する姿勢として棄権票を投じたのである。イスラエルにとって、これは完全なる裏切り行為であった。これに立腹したネタニャフ首相はダン・シャビロ米国大使を呼びつけ厳重に抗議したという。また、賛成した14か国ともトランプ氏が大統領に就任するまで関係を断つとした。また、セネガルの外相のイスラエル訪問を中止させ、同国への支援協力を中断するとした(ABC International)。
 
イスラエルによるこれまでの入植で、15万戸が違法に建設されている。イスラエルの住宅難に苦しむ市民にとって、入植地で住居を構えることは市街に住むよりもその費用は遥かに安い。3部屋のマンションを市内に求めようとすると、25万ドル(2900万円の)費用がかかる。入植地だとそれが2万5000ドルから5万ドル(288万円から580万円)の価格で手に入るというのである(Gatestone Institute)。

しかし、今回の安保理での承認を受けて、ラモットとラマト・ショルトに492戸の建設が予定されていたが、12月31日にネタニャフ首相はそれを中断させた。そして、5600戸が今後の建設予定とされていたのも、1月20日のトランプ氏の大統領就任まで待つことにしたのであった。トランプ氏はイスラエルの入植に賛成していたからである(noticias de Gipuzkoa)。

それを承知で何故、オバマ前大統領は昨年12月の安保理で棄権したのであろうか。そこにはオバマ前大統領の隠された思惑があったようである。それはオランド仏大統領の主導で1月15日にパリで70か国が参加しての中東和平会議が開催されが、それに期待したのであった。この会議で国連決議案2334号も討議されることになっていた。仮にこの会議でも安保理と同じようにイスラエルの入植に反対する案が支持されるようになると、イスラエルの今後の入植の遂行は困難になって来るとオバマ前大統領は見たのであった。しかも、世界の130か国がパレスチナの国家として誕生することを支持しているのである。イスラエルとパレスチナの二か国共存を世界は訴えているのである。唯一、それを否定しているのがイスラエルの現政権である。

このパリ和平会議の結果を踏まえて、フランスはイスラエルに対してハーグに国際刑事裁判所にこれまでのパレスチナ人への人道を無視した行為をも訴える姿勢でいたとも言われている。

ただ、パレスチナ側でも問題がないわけではない。パレスチナ自治政府の高齢のアッバース議長の後継者が明確にされておらず、ガザ地区を支配しているハマースとアッバース議長が率いるヨルダン西岸地区のファタハとが政治的に対立していることである。パレスチナの後継者争いの隙を縫ってネタニャフ首相はヨルダン西岸地区を実行支配するプランももっていると推察もされている。

オバマ前大統領そしてケリー前国務長官は、パレスチナが国家として誕生してイスラエルと共存して行かない限り、中東でのパレスチナ問題の解決はないという考えであった。しかし、現在のネタニャフ首相の政権はイスラエルのこれまでの政権の中で最も極右政権だと見られており、これまでオバマ前大統領とケリー前国務長官の仲介による和平交渉は頓挫したままになっている。そこで、オバマ前大統領は最後の賭けとして、この問題をフランスに託してイスラエルとパレスチナ問題を和平会議の俎板の上に乗せて世界からイスラエルに圧力を掛けるように狙ったのであった。
 
しかし、パリでの和平会議の結果は参加国の間でイスラエルに遠慮して同国の入植を批難することを避け、儀礼的に今後も和平への取り組みを進めて行くということで閉幕したのであった。しかも、ケリー国務長官(当時)はネタニャフ首相に電話を入れて、今後のイスラエルに圧力を加える会議は予定されていないということを伝え、結局、米国はいつものイスラエルを支援する姿勢に戻ったのであった。

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