2017/01/06    09:05

天然ガスの供給で今後もヨーロッパ支配を狙うロシア

ヨーロッパにおけるロシアからの天然ガスへの依存度は35%。その一方、ロシアにとってヨーロッパへの天然ガスの輸出は同国の全輸出量の54%を占めている。(EL ESPAÑOL)(La Revista de la OTAN)その大半がウクライナ経由でヨーロッパに供給されている。
 
しかし、ウクライナを経由してのヨーロッパ向けでは、ウクライナが無断でパイプラインからガスを盗むということことが往々にしてあった。その為、ロシアは出来るだけウクライナを経由せずにヨーロッパにガスを供給するルートを開拓して来た。その一つがロシアとドイツをバルト海底で結ぶ「ノルド・ストリーム」の建設であった。2011年11月から稼働している。
 
また、ロシアはヨーロッパの中欧から南欧を照準に「サウス・ストリーム」も計画した。しかし、黒海の海底から地上に上がる位置にあるブルガリアがパイプラインの建設を許可しない状態が長く続き、ロシアは「サウス・ストリーム」の建設を断念した。ブルガリアが反対した理由はこのパイプライン建設にロシアへの制裁の対象になっている企業が参加するのをEU委員会が許可しないからだという理由を挙げた。しかし、とどのつまりは、米国政府がEU委員会を介してブルガリア政府にその許可をさせなかったのが理由である。
 
その代替ルートとしてロシアが計画したのがトルコ経由であった。トルコからギリシャそしてイタリアに向かう「トルコ・ストリーム」である。しかし、この計画も最終的には米国政府によって潰された。理由はNATO加盟国がエネルギー分野において敵であるロシアと協力することにNATOで一番影響力のある米国と英国が反対したからである。「トルコ・ストリーム」を建設するのであれば、トルコをNATOから脱退させるように働きかけると両国はトルコを脅迫したからであった。
 
しかし、トルコ空軍がロシアの戦闘機を撃墜した時にロシアから侵略の脅威を受けた。その時にNATOが背後からトルコを支援してくれるとトルコ政府は期待していたが、それが単に修辞的な支援だけに終わった。エルドアン大統領はそれには相当失望したという。それ以後、トルコはロシアとの関係強化に動いた。その成果の一つが、トルコクーデター未遂の後のプーチンとエルドアン両大統領の関係回復で、「トルコ・ストリーム」の建設計画が復活したのであった。
 
それと併行して進められていたのが、2015年に具体化された「ノルド・ストリーム2」の建設計画である。「ノルド・ストリーム」と並行させて建設するというもので、ドイツがヨーロッパにおけるガスの配給の供給元になる計画である。
 
しかし、この計画については賛成と反対でEU加盟国の間で意見が分かれている。一番強く反対しているのはウクライナとポーランドである。ウクライナの国営企業ナフトガスは、「ノルド・ストリーム2」が建設された暁には、ロシアのガスプロムがウクライナへのガスの供給を廃止するようになると懸念しているのである。(Sputnik Mundo)同様に、そこから利権を得ているポーランドもこの建設計画に反対している。特に、ポーランドは自国の独占規制局に「ノルド・ストリーム2」のガスプロムとの複数の企業による合弁での建設は国内で扱うガス量の減少から通行料に影響するとして訴えていた。そして、それが認められた。しかし、それは「ノルド・ストリーム2」の建設計画を全体的に中断させるものではない。
 
同様に反対し、この建設はEU議会で承認されるべきだと主張しているのがイタリアのレンツィー前首相であった。イタリアはサウス・ストリーム計画が中断したことによって、見込んでいた利益が消滅したからでもある。

結果、「ノルド・ストリーム2」に関しての問題は、ドイツ委ねることになる。EU加盟国の反対を押し切ってでもドイツはこの建設に踏み切るか否かということなのである。メルケル首相はまだ最終のGOサインを出していない。しかし、ガブリエル副首相は、「ウクライナがガス供給の役目を今後も続けられるという保証があって、初めてこの問題が解決する」と答えた。(EL ESPAÑOL)「ノルド・ストリーム2」の建設は、あくまでドイツがヨーロッパにおけるガスの供給拠点の一つになることであることから、EU加盟国の同意を無視してまでこの計画を実行に移すことは出来ないというのが少なくともガブリエル副首相の考である。
 
一方のロシアは、国家予算の47%を占めているガスのヨーロッパへの輸出をさらに増加させるのが狙いであることから、「ノルド・ストリーム2」の建設は是非とも望むところである。(BBC)1990-2014年の間にヨーロッパにおけるロシアからのガスの輸入は実質半減しているのである。(SLAVYANGRAD.es)即ち、ロシアのガス供給によってヨーロッパを支配する可能性は次第に減少しているということなのである。そこで、ロシアは、ヨーロッパがロシアに依存し続けるようにトルコ・ストリームの建設計画をしたという訳だ。
 
更に、ヨーロッパがカスピ海のガスをアゼルバイジャンから輸入することの具体化も進められていることに、ロシアは間接的に干渉する意向をもっている。これはロシアに依存しないガスの輸入手段であるが、ロシアは汚職で腐敗しているアゼルバイジャンをロシアの勢力圏に加えようとしているのだ。そして、この実現が難しい場合でも、ロシアは黒海からギリシャに直接ガスを提供するための模索もしている。
 
ロシアからのガス輸入の依存度は国によって異なる。ブルガリア、エストニア、フィンランド、レトニア、リトアニア、スウェーデンなどはガス燃料は殆どロシアに依存している。一方、フランスのように、ロシアガスには17%依存しているだけという場合もある。(The Economy Journal.com)オランダのように僅か5.8%依存しているだけという例外もある。(TeInteresa.es
 
また、米国、アルジェリア、カタールは虎視眈々と液化天然ガスのヨーロッパへの供給の拡大を狙っている。
 
それでも、ロシアは今後もあらゆるガスパイプラインの建設ルートの模索を続け、今世紀を支配する自然エネルギーである天然ガスのヨーロッパでの供給元として支配を続けて行くことを狙っているのである。

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