2016/12/23    13:55

ロシアとイスラエルの軍事衝突は回避できるか

シリア内戦でロシアの武力介入は止むことなく、配備される戦闘機も増えている。ロシア艦隊もそれに加わった。

現在の中東におけるロシアは上昇を続ける輝ける星のようなものである。イランと協力してシリア内戦を戦い、トルコとは最近和解し、サウジアラビアとは原油価格の統制で協力関係を構築しつつある。エジプトとはイスラエルとパレスチナの和平協議にロシアが仲介できるように、その下準備をエジプトに依頼するまでの関係にまで発展している。また、米国の中東外交がCIAとペンタゴンの対立で統一性を欠いている隙間を抜ってロシアは中東における影響力を増大させている。

このような中東情勢の中で、米国の第一の同盟国であるイスラエルの動きが注目される。シリアで兵力を増強しているロシアを前に、イスラエルの「Mako」電子紙が10月31日付にて、この40年間で、この地域が初めてイスラエルの軍事力だけではなくなった。しかも領土をコントロールすることも出来なくなった。ロシアとの衝突は時間の問題だ、と述べ、イスラエルとロシアが武力衝突する可能性が高くなっていることを示唆したのである。

イスラエルはこれまで中東では最強の武力を有し、同地域においてイスラエルに対抗できる国は存在しないとされていた。しかし、イランが軍事力を強め、またロシアもシリアを中心に軍事力を増強している現在、イスラエルの軍事力は以前のような破壊力を持たなくなっているという。しかも、シリアやヒズボラからのミサイル弾が時々イスラエルに打ち込まれて来る。また、イランからヒズボラへ兵器が供給されるのを阻止するために監視もせねばらない。

一方、イスラエル空軍はシリアそしてシリアに駐屯するヒズボラへ空爆を折々行っている。また、上空からの監視活動も実施している。しかし、ロシアがシリアにミサイルシステムS-300とS-400を配備したことによって、イスラエル空軍の動きを傍受できるようになったのである。しかも、この2種類のシステムの防衛網をイスラエルの戦闘機が潜り抜けて攻撃するのはほぼ不可能とされている。それが、唯一可能なのはステルス戦闘機で、イスラエルはまだこの戦闘機を保有していない。しかし、イスラエル空軍は今後もシリア政府軍とヒズボラの動きをシリア上空から監視し続けねばならない(「sputniknews」)。

今年7月にイランの革命防衛隊の師団長のジョスロ・オルイ将軍が「ロシアがシリアに配備したミサイルシステムによって敵の1機たりともシリアの上空を飛行させるべきではない」と述べたのある。しかし、これまでロシア軍がどうしてイスラエルの戦闘機を1機たりとも撃墜しないのかという疑問をイランはもっているのである(「Hispan TV」)。そこにはネタニヤフ首相とプーチン大統領の間で暗黙の了解が交わされているからなのである(「Federico Gaon」)。

それはイスラエルからおよそ100キロの沖合に埋蔵する天然ガス田の開発にロシア企業も参加するということと関係しているのだ。リバイアサンとタマルの二つの天然ガス田である。その埋蔵量は世界で最大規模のもので、イスラエルの消費需要を100年賄えるとされている。勿論、それをキプロスからギリシャを経由してヨーロッパにも供給することが計画されている。

このガス田開発にロシア企業の参加をイスラエルが了解しているのは、ロシアを参加させれば、イスラエルを敵としているイランやヒズボラからのガス田への攻撃を避けることができると見ているからである。イランもヒズボラにとってもロシアは同盟国である。その同盟国の企業が参加しているガス田開発をテロ攻撃などで被害を加えることはまず考えられない。一方のロシアは、ヨーロッパがロシアの天然ガスへの依存を少なくしようとしている傾向の中で、ロシアはその代替供給先にも資本参加しておけば、そこから利益を得ることができるという考えである。

さらに、ロシアにとってイスラエルは信頼のおける国と見ている。イスラエル人口の15%はソ連時代からの移民であり、両国の間で相互の信頼関係も存在している。ロシアの同盟国であるイランも天然ガスと原油の産出国であるが、ロシアが原油価格の値上がり目論んで産出量を抑えるようにとイランに協力を求めても、イランはそれを無視して生産量を増やして行っているのを経験している。その意味で、ロシアにとってイランよりもイスラエルの方が信頼を寄せることが出来るという考えなのである。

また、ネタニヤフ首相はオバマ大統領よりもプーチン大統領の方が相互の理解が容易だとされており、同首相はパレスチナ問題についても米国よりもロシアの仲介を望んでいるという。その代り、ロシアにその機会を与えるのと交換で、ゴラン高原の領有権がイスラエルにあることをロシアが支持するようにと要請もしているという。

このような取り決めが双方の間で交わされている限り、イスラエルの戦闘機をシリアのロシア軍が撃墜することは、よほどの場合でないと起きない。しかし、上述のイスラエル紙は、ロシアがシリアに益々軍事力を強めて行けば、一方のイスラエルは、周辺国からの攻撃を回避するための軍事的防衛措置を取って行く過程の中で突発的に双方の武力衝突は避けられなくなると見ているのである。

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