2016/11/11    18:30

イギリス銀行協会の会長が大手銀行の移転を警告――ブレグジットの余波つづく

Brexitの決定を受けて、シティーで営業活動をしている金融業者の誘致を狙ってフランクフルトとパリが積極的に動いている。一方の英国では、Brexitによって英国で営業活動をしている世界の主要金融業者が一部の部門或いは全部門を英国から離して行くのは確実だと見られており、シティーの将来が懸念されている。
 
それを如実に伝えたのが英国銀行協会(BBA)のアンソニー・ブラウン会長が寄稿した衝撃的な内容の記事で、10月22日付「ガーディアン紙(the guardian)」にも掲載された。それによると、Brexitに伴う影響で多くの小規模な銀行はクリスマス前までに英国以外へ業務移転を開始、同様に大手銀行は来年3月までにそれを実施するようになると述べたのである。

更に、同氏が指摘しているのは、英国をベースにEU27か国の企業や政府などにレンデイングされている額は1兆1000億ポンド(140兆円)。また、英国とEU加盟国との年間の商業トランザクションは200億ポンド(2兆5400億円)以上となっているが、それがBrexitによって取引規模の減少となり、シティーの危機を招く可能性があると予測していることである。
 
例えば、シティーのファリンドン通りに凡そ8万平方メートルの敷地に10億ポンド(1270億円)を投入してオフィスを建設中のゴールドマン・サックスはそこで6000-7000人が働くことを計画していた。しかし、予期しなかったBrexitが勝利したことによって、その修正を余儀なくさせられるとしている(「Sindicato ASI」)。
 
HSBCは投資部門の5000人をパリに移動させることを予定しているという。また、J.P.モルガンは4000人の雇用ポストが影響を受けるそうだ。
 
シティーバンク、モーガン・スタンレー、BNPパリバ、クレディ・アグリコル、クレディ・スイス、UBS、ドイツ銀行などもシティーから一部従業員のヨーロッパ大陸への移動の必要性が生じるようになると思われる。
 
情報機関TheCityUKの依頼でPWCコンサルテイングが調査しての報告によると、経済成長の停滞、ポンドの下落などが主因となって、英国の金融市場からおよそ10万人の職場が失われると予測されているという。また、2020年まで毎年120億ポンド(1兆5240億円)の減収に繋がると報告された。尚、2030年には一部回復が見られるようになると指摘してはいる(「mdz Online」)。
 
英国の金融サービスは英国GDPの12%を担っており、220万人がそれに従事しているという(「El Mundo」)。
 
例えば、シティーにおける米国の金融業者について、シンク・タンクのブルーゲル(Bruegel)はヨーロッパにおける米国の銀行従業員の70%-90%が英国で活動しており、その数は7万人と指摘した。それに15の主要投資企業やファンド、ブローカー、コンサルタントなどの分野で活躍している人たちを加えると、その数は30万人に及ぶとロンドン自治体のデーターが示していると言及した。それが、Brexitによってマイナス影響を受けることになるのである(「Sindicato ASI」)。
 
もう一つ懸念されていることとして、「EUパスポート」がある。英国がEUを離脱すると、英国ではこの取得が出来なる可能性があるということである。EUパスポートはEU以外の金融業者がEU圏内で営業活動をするのに必要な認可制度で、EUの一か国でそれを取得すれば、EU全域で営業活動が出来るというものである。
 
ヨーロッパで金融活動を望む金融業者だと、当然のごとく金融市場をリードする英国に先ず進出したがるのは当然である。そして、英国でEUパスポートを取得すれば、ヨーロッパ大陸のどこでも支障なく金融活動が出来るようになる。問題は英国がEUから離脱すれば、このパスポートを英国で発行できなくなる可能性があるということなのである。
 
特に、英国がHARD Brexitを前面に出して、人の移動の自由を英国が拒否すると、EUの共同市場へ無関税でのアクセスが出来なくなり、英国でEUパスポートは発行出来なくなる可能性が強い。即ち、これもシティーへの関心を弱める要因となるのである。現在、英国では5000社がこのパスポートを取得しているという(「mdz Online」)。
 
「EU共同市場は英国の金融業の運命を左右する重要な市場である。50万人の雇用を生み、310億ポンド(3兆9400億円)以上の税収に貢献している」
 
これは冒頭のアンソニーブラウン会長が国民投票が実施される前にEU残留を支持して語ったことばである(「mdz Online」)。

今のところ、EU残留に逆戻りする動きは皆無である。

TOP NEWS

早急に業務時間改善と意識改革を

2017/05/31  14:05

教員は子供の成長に寄与することが本来の仕事

Appleより優秀な人材が集結?

2017/05/16  14:05

電気自動車の先端を行くテスラモーターズ

中身を見て判断すべきでは

2017/06/14  08:02

聖書の一句を載せる与党~政教分離の意味とは

ACCESS RANKING

2

『ハムレット』などでおなじみの世界の文豪をつ

シェイクスピアに大きな影響を与えた思想とは

3

アメリカの自動車王に学ぶ「経営に貫かれる奉仕

ヘンリー・フォードの経営思想

4

スペイン発 ファッションの国際競争

ZARAのライバル、MANGOをご存知ですか?

5

「自由」の意味が問われている

出生率の低下で、イスラム化が進むヨーロッパ

9

赤本はあるけど、予備校には通えない

”目標”を突破せよ!・・・防大受験最前線