2017/05/31    13:47

収賄事件の中心人物は、3年前には「世界経営者会議」でも紹介されていたCEO

ラテンアメリカ全域を汚職のベールに包んでいる事件「ラヴァ・ハト(Lava Jato)」に絡んでいるとして、ブラジルのルラ元大統領の公判での尋問が5月10日に行われた。もちろん、彼は起訴を違法だとしてその内容を否認した。
 
そもそも、この事件の火付け役となったオデブレヒト社のCEOだったマルセロ・オデブレヒトを紹介したものが、筆者の手元にある。2014年の日経フォーラム世界経営者会議の講師として、彼が南米最大級の建設エンジニアリング企業のCEOとして紹介されている(第16回 日経フォーラム「世界経営者会議」)。

この彼がこの会議に出席していた当時、彼の会社が世界に賄賂をばら撒いていたことなど、会議出席者の間では誰も知る由もなかったであろう。賄賂はそれぞれの国ごとに「賄賂担当ディレクター」を置いて資金を配っていたというのである。彼はビジネスに賄賂を極限まで使っていたのであった。彼が収監された時も、そこから配る賄賂の指示をしていたという。
 
オデブレヒト社はマルセロの祖父であるドイツ系移民のノルベルト・オデブレヒトによってブラジルのバイア州のサルバドール市で1944年に建設会社として誕生。マルセロの父親の代になると、当時の軍事政権と癒着し、道路やダムの建設、更に原子力発電所の建設も手掛けた。その後、バイオエネルギー、防衛、石油化学の分野などにも進出してブラジルで最大規模の企業としての一翼を担うようになった。

1979年には初めて外国での事業に参加。その手初めとして、ペルーとチリで水力発電所の建設を手掛けた。それ以後は、ブラジル政府が付与する借款を利用してラテンアメリカやアフリカなど広域に亘って事業を展開して行くのであった。
 
マルセロ・オデブレヒトはバイア連邦大学で土木工学を修学し、スイスのローザンヌ市の国際経営開発研究所(IMD)でMBAを取得した後、1992年にオデブレヒト社に入社。2008年には40才の若さで同社のCEOに就任した。
当時のブラジルは高度成長が始まる頃で、それにマルセロが経営する会社が政界にうまく癒着して発展して行くのであった。当時のブラジルは開発途上国の中で、もっとも注目を集めていた国であった。

2003年にルラが党首を務める労働者党が政権を就くと、ブラジルの最大企業ペトロブラス石油公社に関係した仕事を一挙に手にしたオデブレヒト社は入札時に費用を水増ししていた。理由は、落札すると、その水増し金額を落札を容易にしてくれた議員や官僚に謝礼としてばら撒いたのであった。

当時のオデブレヒト社は15万人以上の従業員を抱え、20か国以上の市場で事業を展開していた。ブラジル国内においても、ワールドカップやオリンピックのスタジアムの建設など同社が大半を手掛けた。
 
オデブレヒト社の発展を支える為の政界におけるドンはルラ元大統領だ。当時の彼は世界的にも注目を集めていた国家指導者ということから、彼はオデブレヒト社のプロモーターであるかのように外国での同社の事業展開に協力したのであった。
ルラのお陰で同社は急激に成長して行くのである。それは同時に、同社からの賄賂の横行が激しさを増すことに繋がった。しかし、2015年頃になると、ペトロブラスに絡む賄賂の横行に警察が注目するようになった。
 
遂に、2015年6月にマルセロ・オデブレヒトが逮捕された。判決で19年4カ月という実刑が下された。数か月すると、マルセロは刑務所での生活に耐えられなくなるのと、賄賂を貰った多くの政治家や高官らが今も罪状なく普通の生活をしているということが腹立たしくなり、10年の減刑と引き換えで全貌を明らかにすることでセルジオ・モロ判事と合意するのであった。

彼の供述から明らかになったひとつに、ルラ元大統領の老後生活に4000万レアル(12億3000万円)を用意したということがある(infobae.com)。
また、彼の供述の中で、ブラジルの総選挙の75%の資金は裏金が使われているということも明らかにされた。それは1985年に就任したホセ・サルネイ大統領から始まって、フェルナンド・デ・メロ、エンリケ・カルドソ、ルラ、ルセフまで5人の大統領まで続いた。また、27人の現州知事の中の12人も選挙資金に同様の裏金を使ったという。
また、ラテンアメリカとアフリカの12カ国に7億8800万ドル(875億円)を賄賂としてばら撒いたことも明らかにした(hispantv.com)。
 
また、コロンビアでは20年間5万から10万ドル(550万円・1100万円)を毎月コロンビア革命軍(FARC)に支払っていたことも供述した。オデブレヒト社の役員二人が彼らに誘拐されたことが動機で、FARCがその後コロンビアでの事業を妨害しないようにする為であったという(infobae.com)。
 
マルセロ・オデブレヒトの告白と引き換えに減刑を約束したセルジオ・モロ判事の一番の狙いは、ルラ元大統領を有罪にすることである。一方のルラは、それを逃れる為に2018年の大統領選挙に立候補する構えである。そうすれば、不逮捕特権を利用できることになる。しかし、この汚職事件の全貌が明らかにされつつある現在、かつてブラジルの発展の父と称されたルラへの国民からの信頼は次第に失われつつある。しかも、彼の側近らは既に有罪の判決が下り収監している。

誇れる学歴もなく、貧困層から大統領になり、ブラジルの高度成長を導いたルラ元大統領であるが、彼に有罪の判決が下るのはそう遠くない。

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