2017/01/13    10:34

ニカラグア運河は計画倒れになる公算が強くなっている

2013年にニカラグア運河の建設プロジェクトが世界の注目を集めた。当初から、このプロジェクトの背後には中国が関係していると噂されていた。着工は2014年と発表されたが、2年経過した今も工事は始まっていない。着工の遅れは資金難と地元民の反対が一番の要因と思われる。
 
ニカラグアの独裁者ダニエル・オルテガ大統領のこの運河に寄せる期待も少しづつ消滅しているという。もちろん、中国も米国の喉元に自国の軍艦を航海させて米国を牽制したいという望みも、今のところは実現できそうにない。
 
中国で通信関係の事業で成功したとされる富豪の王靖氏がプロモーターとなって「香港ニカラグア運河開発投資会社(HKND)」を設立したが、彼一人の存在が浮き彫りにされるだけで、このプロジェクトに誰が参加しているのか全く明確にされていない。
 
このプロジェクトの総工費は700億ドル(8兆円)と見込まれている。当初は500億ドル(5兆8000億円)と言われていた。一般にこのような大規模なプロジェクトは費用が次第に加算されて行くのが常である。実際に工事が始まればその費用はさらに増加するはずである。それにしても、莫大な資金が必要とされる。(El Confidencial

王靖氏の資産は、2015年当初、96億ユーロ(1兆円)と評価されていたが、中国の株価の下落で、現在の彼の資産は、89%減少して10億ユーロ(1100億円)規模と推測されている。今年9月にメキシコの「El Financiero」紙の記者によるHKNDのクオック副社長とのインタビューで、投資家は既にいるのかという質問に同氏は、「投資に関心を示している企業はある。しかし、最終の総工費を知る為の調査と設計でまだ不足している面があり具体化できないでいる」と答えた。また、それは中国の企業か、それとも外国の投資家を探しているのかという質問には、「中国企業だけではなく、米国、ペルーなどラテンアメリカ、そしてコスタリカの投資家までいる」と述べた。それらの企業名について質問すると、「現時点ではそれは公表できない。もっと先の時点で明らかにする」と答えたという。(El Financiero

2013年にこのプロジェクトが発表されてから、明らかにされている投資家はこのプロジェクトを担う王靖氏だけである。同氏もニカラグア政府もこの点については一切言明を避けている。謎に包まれたプロジェクトなのである。
 
その一方で、ニカラグア政府は「法律840条第12項」によって、「HKNDが開発に必要とした土地は政府の土地鑑定評価額によって所有者に支払われ、立ち退きが義務ずけられている。それに対しての所有者からの不服は一切受け付けない」と謳われている。政府の土地鑑定評価額というのは一般の不動産価格よりもはるかに安い価格になっている。(Univision Noticias
 
その対象になりそうな買収総額土地は、およそ2900㎡となっており、3万から12万人がその対象になり、住居や農耕地を明け渡さねばらなくなる。セシボルカ湖から用水路を使って8万人の住民に水を供給しているが、この開発によってこの湖が汚染される可能性が充分にあり、飲料水として飲めなくなると、住民の死活問題になることも懸念されている。(El Confidencial
 
中南米諸国の中で最も貧困国とされているハイチに次ぐ貧困国はニカラグアで、ダニエル・オルテガ大統領はこの運河の建設は、貧困から脱出できる良い機会だと考え、経済の発展を期待しているのである。この運河が完成すれば、それは国のGDPの10%を担うことになり、5万人の雇用を生むと見込まれている。また、王靖をプロモーターとして連れて来たのは、オルテガ大統領の息子ラウレアーノ・オルテガだされている。(El Confidencial
 
独裁者の野望とは裏腹に、この運河の開発の対象になっている地域の住民にとっては、これまで住み慣れた土地を強引に没収され、しかもその代償として受け取るお金は非常に僅かということで、これまで81回の抗議デモが行われている。また、この建設に反対して2万8000人の署名も集まっているという。(EL ESPECTADOR
 
1936年から続いていたソモサ独裁政治に反対する武装組織「民族解放戦線サンディニスタ」のリーダーだったダニエル・オルテガはソモサ政権を打倒して大統領となり社会主義政権の樹立を目指した。レーガン大統領の米国の干渉もあり、政権から後退した。しかし、16年後にオルテガはまた政権に復帰するや、ソモサ独裁政治の時代のような独裁政治体制を敷き、かつて彼を支援した農民を経済発展の為と称して苦しめているのが現在のニカラグアの政治である。かつては、中米で豊かな国であったニカラグアは、サンディニスタが絡んだ内戦が続いたことによって、現在、中南米とカリブ海の諸国の中でハイチに次いで2番目の貧困国になっている。
 
そんなニカラグアに舞い込んで来たのが今回の運河建設プロジェクトなのである。

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