2017/08/30    12:24

どうしてバルセロナでテロが発生したのか。

8月17日にバルセロナで起きたテロから1週間が経過した。この事件の真相が次第に解明されつつある。

テロリストが計画していたのはもっと大規模なテロ爆破であったという。特に、バルセロナの代表的な記念建造物の爆破だったそうだ。サグラダ・ファミリアもそのひとつだったという。当初、彼らは3つの襲撃プランA、B、Cを計画していたという。

A: フランス・ニースで起きたような、トラックに爆薬とLPガスボンベを積んで記念建造物の近くで人込みの多い中に突進して爆破させる。しかし、テロリストの中でトラックの運転免許を持っている者がおらず、トラックをレンタカー出来なかった。その為、Bプランに変更した。

B: ワゴン車に爆発物とLPガスボンベを積んでAと同じような過程を踏んで爆破させる。ところが、準備していた爆薬が16日に爆破してしまい、爆薬を用意できなくなった。そこで、最後のCプランを実行することに決めた。

C: 爆薬なしでレンタカーのワゴン車を人込みの中に突入させる。これが今回のバルセロナのラス・ランブラス通りで起きたテロとなったのである。ワゴン車を運転していたテロリストは逃走中に1台の車を奪ったが、その運転手を殺害。結局、ひき逃げされた13人と殺害された運転手とで14人が犠牲者となった。

また、その翌日未明のバルセロナから110㎞離れたリゾート地、カンブリルスで予定していたテロは、自治警察に一時停車を求められ、それを無視したテロリストの乗っていた車が横転して、乗車していた3人と逃走したひとりが警官によって射殺された。その逃走した男に刃物で刺されたひとりの女性は搬送された病院で死亡。
この連続テロで15人が死亡し、負傷者は140人以上で、現在も重体患者が数名いるという(elindependiente.com)。
 
幸いだったことは、テロが起きる前日16日夜にカンブリルスから更に90㎞南下した町アルカナルで準備していた爆薬が操作を誤って爆発したことであった。テロリストはここから爆薬を積んで人通りの多い場所で爆破させる予定だったのである。
この爆薬は過酸化アセトン(TATP)と呼ばれるもので、イスラム国の過激派が良く使う爆発物である。「サタンの母」という異名で呼ばれている。
 
しかし、17日のテロも未然に防ぐことができた可能性もあったとされている。その理由というのは、16日のアルカナルでの爆薬が爆発した時に、自治警察がそれを単に麻薬関係の仕業と見て、テロリストと関係づけなかったことである。
しかも、自治警察はスペイン治安機動隊と国家警察の現地調査を断ったのである。理由は独立を主張しているカタルーニャ州政府の圧力もあって、自治警察は治安機動隊と国家警察の手を借りることなく事件を解明できるという自負が影響したのである。

特に、治安機動隊のテロ専門家が爆破した現場の調査に立ち合っていれば、テロリストが何か企んでいると咄嗟に理解したであろうと推察されている。そして、そこで死亡した、導師とされていた人物が危険人物であるという情報を掴み、直ぐに関係者の捜査に乗り出していたはずであった。

そして、もう一点、テロリストたちがワゴン車で突入するのを容易にした理由として挙げられているのは、ラス・ランブラス通りに車の突入を防ぐ障害物を設置していなかったという点である。昨年12月にスペイン内務省はカタルーニャ州政府に人通りの多い場所には大きな植木鉢やコンクリートのブロックを設置するように要請していたのである。しかも、今年6月には米国CIAが自治警察にもバルセロナでテロの起きる可能性が強いと通報していた。しかも、CIAはラス・ランブラス通りが狙われているということも指摘していた(elperiodico.com)。

ところが、独立を主張して10月には独立を問う州民投票を新たに実施するという計画を持っているカタルーニャ州政府は、スペイン内務省からの要請を受け入れることを拒否。同様に、独立支持派のバルセロナ市のアダ・コラウ市長もそれを無視。彼らにはスペイン中央政府からのいかなる助言も素直に受け入れる姿勢ではなかったのである。その代わりに、監視する警官を増やすことにしたのであった。その結果、ラス・ランブラス通りに突入したテロリストのワゴン車は、蛇行しながら600メートルも進むことができた。警官を増やしても、ワゴン車の突進を止めることは出来なかったのである。
 
ではどうしてバルセロナでテロが発生したのか。

カタルーニャ州でテロは遅かれ早かれ起きるとされていた。カタルーニャ州はスペインでムスリムが一番多く住んでおり、その数は40万人と推計されている。それはスペインに住んでいるムスリムの20%に相当するという。同州でジハードに影響を受けた危険度の高い人物だと警察がリストアップしている者が1万人近くいるというのである。今回のテロリストはそのリストにまだ入っていない若者たちであった。だから彼らの動きを警察は把握できなかったのである(ABC espana)。

更に歴史的な理由もある。スペインはムスリムに700年近く統治されていたという事実である。当時、彼らはスペインのことを通称アル・アンダルスと呼んでいた。テロリストはそのアル・アンダルスの領土の回復の為にテロ活動を行うとしたのである。
 
テロリストの攻撃の懸念が高まったのは、1年前にイスラム国が広報しているビデオ画面の中にスペインのサグラダ・ファミリアの映像が流れた時であった。
このような関係もあって、スペイン政府はテロ警戒「レベル4」にして警戒体制を敷いていたのである。
 
仮に自治警察が治安機動隊と国家警察に協力を充分に要請し、またラス・ランブラスに障害物を設置していれば、今回のテロは防げたかもしれない。その代わりに別の日に他の地区が狙われたかもしれないが、今回の犠牲者と負傷者が発生することを防げた可能性があったことに忸怩たる思いがする。犠牲者の中には3歳と7歳の子供もいる。家族持ちの若いイタリア人男性、結婚1周年記念で米国から訪れていた男性は死亡、その夫人は重傷を負っている。
 
2014年3月11日にマドリードで起きた電車連続爆破テロでも多くの犠牲者が出たが、今回のテロはまたスペイン全国民を震撼させたテロであった。
 
しかし、美談もある。バルセロナで、ムスリムであるモロッコ出身のタクシーの運転手は、「SOSタクシー」になって、当日ラス・ランブラスで困っていた人たちを無料で目的地まで連れて行ったそうだ。10人以上に乗車してもらったと言っている。そして、彼は無線で他のタクシーにも協力を仰いだという(okdiario.com)。

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