2017/03/29    10:28

ラテンアメリカ最大の汚職事件の全貌が明らかになりつつある。

歴史とは皮肉なもので、フジモリ氏が日本に亡命した時に彼の身柄の引き渡しを日本政府に要請したのは当時のペルーのアレハンドロ・トレド大統領であった。その彼が今度は、同国のクチンスキー大統領によって、現在彼が在住している米国からの送還を要請されているのである。ペルー国内では彼に汚職容疑で既に逮捕状が出ている。クチンスキー大統領は2月にワシントンを訪問した際にも、トランプ大統領との会談の席で彼の身柄の引き渡しを要請した。

ラテンアメリカの政治において「賄賂」を切り離して考えることは出来ない。アレハンドロ・トレド氏が大統領であった2001-2006年に太平洋と大西洋を結ぶ道路建設の受注に関係してブラジルの建設会社オデブレヒト社から2000万ドル(23億円)を受け取っていたことが発覚。彼の夫人がイスラエル人であるということから、在住先の米国からイスラエルに移住することを計画していたようである。しかし、イスラエル政府は彼の入国を拒否する姿勢を公にしたことから、彼は今も米国に留まっている。

この汚職事件はトレド氏だけへの賄賂に留まらないのである。ラテンアメリカの主要国の大統領や政治家にも汚職は波及している。その震源地はブラジルで、16万8000人の従業員を抱える巨大建設会社オデブレヒト社である。そして、その震源の元を作ったのがブラジルの石油公社ペトロブラスであった。

ペトロブラスのプロジェクトを一手に請け負っていたのがオデブレヒト社であった。同社は2004年から2012年に亘り各プロジェクトの見積もり価格に平均3%の水増しをしてオファーしていた。その水増しされたお金が受注を容易にさせた政治家にばら撒かれていたのである。

オデブレヒト社はこの手口をラテンアメリカ全域に広げたのであった。そして、水増ししたお金は政治家の選挙キャンペーンなどに充てられていた。現在まで発覚している同社の汚職が及んでいる国はブラジルを始め、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、メキシコ、ベネズエラ、ドミニカ、エクアドル、パナマ、米国などである。

2014年にこの事件が摘発されて、その後の調査からオデブレヒト社の社長マルセロ・オデブレヒト氏は懲役19年4か月の判決が下された。また、同社の役員ら77人も同様に有罪の判決を受けた。最近になって、マルセロ・オデブレヒトに対して10年刑を短縮するという交換条件で、汚職の詳細を明かすということで合意に至ったことから、これまでの汚職の全貌が明らかにされつつあるのである。

冒頭のペルーのアレハンドロ・トレド元大統領への賄賂もマルセロ・オデブレヒトの供述によって明らかにされたのであった。

以下に主要国で明らかにされている汚職の概要を説明しよう。
(elpais.com) (listindiario.com) (siempre.mx) (BBC Mundo)

ペルー
● アレハンドロ・トレド元大統領への道路建設受注への謝礼として2000万ドル(23億円)の提供。
● オヤンタ・ウマラ前大統領の大統領選挙資金として300万ドル(3億4500万円)。
● オヤンタ・ウマラ前大統領の夫人ナディン・エレディアに2回の謝礼を提供した。
● ホルヘ・クバ元通信相にリマ市の地下鉄工事受注の謝礼として200万ドル(2億3000万円)。
● アラン・ガルシア大統領政権下で700万ドル(8億500万円)を賄賂に使った。
 
コロンビア
● サントス大統領に1100万ドル(12億6500万円)を謝礼として払ったとしているが、検察がまだ調査中。また、選挙資金として100万ドル(1億1500万円)を提供。サントス大統領はつい最近、ノーベル平和賞を受賞し、また革命軍との和平交渉の推進者ということから検察側もより慎重にこの調査を進めている。
● 自由党のオット・ブラ議員に道路建設の受注の謝礼460万ドル(5億2900万円)を支給。
● ガブリエル・ガルシア・モラレス運輸副大臣も賄賂を受けている。
 
ブラジル
● オデブレヒト社の本拠地であり、ルラ元大統領政権下から現在のテメル大統領まで3億4900万ドル(401億3500万円)が賄賂として充てられているとしている。
ルラ元大統領への公判もすでに開始されている。ルセフ大統領の側近らも同様に起訴されている。
 
アルゼンチン
● 13年間のキルチネール夫婦による政権から汚職が摘発されると思われたのが、その前に予測に反して3500万ドル(40億2500万円)がマクリ大統領に関係した賄賂として見つかっている。また、彼の親友から60万ドル(6900万円)の送金があったのも見つかっている。それは鉄道工事に関係して賄賂だと推測されている。
 
メキシコ
● 公営事業を担当している高官に1050万ドル(12億円)を賄賂として使ったとしている。
 
ベネズエラ
● 仲介業者への謝礼として9800万ドル(112億7000万円)を使った。
 
ドミニカ
● 8年間に1億8400万ドル(211億6000万円)を同政府に謝礼として支払っている。
 
エクアドル
● 2007年から2016年までに政府の官僚に3350億ドル(38億5000万円)を賄賂として使っている。
 
パナマ
● 2010-2014年までに賄賂として5900万ドル(67億8500万円)。
● マルティネリー前大統領の二人の息子に2200万ドル(25億3000万円)を渡した。
 
これからもその全貌が更に明らかになっていくはずである。

なお、オデブレヒト社は公に謝罪し、同時に今後もプロジェクトなどに応札できる権利を取り戻すために米国、ブラジル、スイスに対しては総額35億ドル(4025億円)の罰金を払うことを約束している。

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