2016/12/26    13:59

プーチンびいきのトランプ米大統領が就任すると、ウクライナはどうなるか

トランプ氏が米国の次期大統領になることが決まって、自国の存亡を非常に懸念している国がある。その国とはウクライナである。
 
ポロシェンコ大統領はヒラリー・クリントン氏が勝利すると思って既に彼女と接触していた。その一方で、トランプ氏は大統領選挙戦中もクリミアのロシアへの併合を容認する姿勢を示したり、ウクライナへの資金の投入を止めることを提案し、それはドイツあたりに任せた方が良いのではないかといった軽率な発言をしていたのである。
 
ソ連が崩壊してウクライナが独立国家となると、当時の米国は早速ウクライナを自国の影響下に置くことを図るのであった。当初、米国は50億ドル(5500億円)を投入してキエフの政治内部を扇動したのであった。それには著名な投機家ジョージ・ソロス氏も参加していた。
 
では、何故、そこまでして米国はウクライナを自国の影響下に置こうとしたのか。それはロシアへの警戒論であった。ブレジンスキー元大統領補佐官が次のように著したことから理解できる。
「ウクライナを支配しないロシアは帝国にはならない。しかし、ロシアがウクライナを買収し、従属させるようになると、ロシアは帝国に変身する」(「El Pais」)

同様に、ウクライナの地政学的重要性を知っているキッシンジャー元国務長官は次のようなことを提案していた。(「voltairenet」)。
● 西ヨーロッパの経済体制を取り入れる。
● NATOには加盟しない。
● フィンランドのように中立国家となる。
● クリミアはウクライナに属するが、自治体制にする。
 
しかし、ウクライナはEUそしてNATOの加盟国になる為の道を歩み始めた。キエフ政府はウクライナの進んだ軍需産業はEUでも活躍できると期待した。そして、NATOに加盟することによってロシアからの攻撃から守ることが出来ると考えた。
 
しかし、それを見たロシアは、その動きを阻止する為に、ウクライナでロシア人が多く住んでいるドネツクとルガンスクの両地方を自治制にすることを主張すると同時に、武器なども提供した。キエフの中央政府と対立させるためであった。
 
ロシアはもう一方突っ込んで、クリミアをロシアに併合させた。ミンスク2協定でこの両地方を自治体制にすることに合意したが、ウクライナ政府はそれを受け入れて自治体制を付与する意向は薄い。何故なら、それに同意すると、いずれ両地方がロシア領土に復帰するからである。

ソ連が崩壊するまで、ウクライナはソ連の軍需産業を担っていた。ロシア「RBTH」電子版によると、軍需産業に携わっていた企業は3594社、300万人を雇用していたという。世界で大型軍用輸送機メーカーとして高く評価されていたアントノフ社はウクライナの企業である。しかし、現状の経済の後退したウクライナではアントノフ社の技術を生かすだけの需要はなく、その技術は今年中国に譲渡されて、中国がライセンス契約で超大型輸送機An-225ムリーヤを生産することになった。

結局、現在のウクライナはEUにも、またNATOにも加盟することが出来ない状態が続いていた。その打開策としてウクライナは、ポーランドがリーダーとなってハンガリー、チェコ、スロバキアそしてポーランドの4か国がグループV4を形成して共同歩調を取っているが、このグループの協力を仰いだのである。

V4は同じEU内のドイツ、フランス、イタリアなどに対抗する意味で創設されたグループである。ウクライナはV4グループの支援をもとにEU加盟を要請する道を選んだのである。

またV4グループが更に求めているのは「Miedzymorze」を再現させるようなもので、自由主義陣営を守るためにロシアと国境を接する国同士の連携である。現在で言えば、北はフィンランドからエストニア、ラトビア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、モルダビア、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドの10か国である(「sputniknews」)。

しかし、この構想をくつがえす出来事が11月に起きた。モルダビアとブルガリアの総選挙で親ロシア派の政党が勝利したのである。

このような複雑な情勢を前に、米国でウクライナをEUとNATOに加盟させることに関心の薄いトランプ氏が、来年1月から大統領に就任することが決まったのである。

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