2016/02/11    13:19

ニューハンプシャー州で「でっかく」勝ったトランプ氏――党を超える政治のうねりの行方

「アイオワ州の党員集会で敗れた後のドナルド・トランプは、ノックダウンされたヘビーウェイト・チャンピオンのように振る舞った」と、ニューヨーク・タイムズ紙は伝えた。
 
今秋の米大統領選の党公認を決めるプロセス。これまで全米の世論調査で首位に立ち続けてきた実業家のトランプ氏は、初戦のアイオワ州で2位だった。土地柄を考えれば善戦と言えたが、トランプ氏の退場を願っているメディアはこれを「敗北」と伝え、選挙戦の雲行きが怪しいと書きたてた。
 
しかし、そうした大方の見方に歪みがあったことが、9日のニューハンプシャー州での予備選挙で示された。
 
アイオワ州での雪辱を果たして、カムバックを遂げたトランプ氏は、2位にダブルスコアをつけて圧勝。何よりも、性別、年齢、保守か穏健かにかかわらず、まんべんなく支持を集めた。ワシントン・イズザミナー紙は「つまり、トランプは全員に勝った。そして、引きずりおろすのが難しい方法で勝った」と報じている。
 
今回のニューハンプシャー州での選挙結果は、これまで既成の政治をつくってきた、共和・民主両党の政治家やリーダー層にとっては、「アラーム・ベルが鳴った」ということだろう。民主党でも、これまでの秩序を壊す「政治革命」を訴えているバーニー・サンダース上院議員が勝利した。隣のバーモント州が地元という地の利はあったが、60%も得票を持っていかれては、ヒラリー・クリントン前国務長官も言い訳のしようがない。
 
ニューハンプシャー州で両党の予備選挙に投票した人の数は50万人を超え、トランプ氏とサンダース氏を合わせるとその半数近くの票を集めたという。日本から見ると、共和党、民主党という二大政党“制”は揺るがないものにも見えるが、トランプ氏とサンダース氏は自分の党のあり方さえも攻撃し、いっそ壊さんばかりの選挙戦をしている。
 
無党派層の中にはトランプ氏かサンダース氏かで決めかねる人もいるようだ。クリントン氏がもし民主党の公認になる場合には、サンダース氏の支持者が共和党候補に投票するのではないかという懸念もささやかれている。
 
保守の共和党と革新の民主党という対立軸なら立場の違いが鮮明で、どちらかの党の候補を支持していた人が、簡単に真逆の党の候補に乗り換えるというのは、理解しがたいかもしれない。しかし、構図が「これまでの政治秩序」と「新しい政治秩序」の戦いだとしたら、話は別である。選挙戦は序盤で、トランプ、サンダースの両氏の健闘がどこまで続くかは見通し難い面もあるが、これまでの党の枠組みを超えた新しい政治につながる可能性を内に秘めた動きであることは間違いない。

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