2015/09/26    17:00

首脳会談 米中友好はこれで最後になるか?

習近平国家主席が、国賓待遇で訪米し、25日にはオバマ大統領と首脳会談を行った。国賓待遇は、元首が元首を“国のお客様”としてもてなすものだが、現在の米中関係に儀礼に見合うほどの温かさはない。中国による、南シナ海での人工島の建設や、米政府の人事管理局に対するサイバー攻撃が、アメリカ国内で懸念を広めているからだ。実際に、共和党の大統領候補の中には、国賓待遇を取りやめて、実務レベルに降格させるべきだという意見もあった。
 
表向きの「米中友好」の一方で、すでに隠しようのない両国の戦略面での対立が、ともに表れた習氏の訪米だった。
 
実際の成果がどうであっても、会談を行うからには、両首脳は会談の成果を誇らしげに発表することになる。今回も、温暖化対策で中国が温室効果ガスの排出量取引制度を設けることを決めたことや、両政府がサイバー攻撃を行なったり、支援したりしないことで合意したことが発表された。
 
特に、サイバー攻撃の問題では、両国が「サイバー軍縮」で合意すると、事前に米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)などが報じ、注目が集まっていた。しかし、この「サイバー軍縮」にこそ、米中関係が抱えている葛藤が見て取れる。
 
NYTは「米中両国は、平時に相手国の重要なインフラにダメージを与えるサイバーの武器を先制使用しないと約束する、サイバー空間で初となる軍縮合意となるものを交渉している」と、20日付で報じていた。しかし、ここで違和感を持つのは、最大の貿易相手であり、最も重要な二国間関係と呼び合う両国が、そもそも「相手のインフラを攻撃しないようにしよう」という合意をわざわざ話し合わなければならないということだ。

そもそも米中友好は見せかけか、あるいはオバマ大統領の希望的観測であって、実際には米中の間の溝は隠しようのないレベルにあることは、このことからも明らかだろう。習氏がいくら中国への投資を呼び掛けても、どれだけの効果があるものだろうか。
 
そして、「米中友好」という見せかけさえも、今後、維持できるかどうかは分からない。これまでのアメリカの対中政策の根底にあった考え方が、崩れようとしているからだ。
 
これまでのアメリカは、中国の経済成長を助けて、国際社会の体制に組み込んでいけば、次第に国際ルールに則った行動を取るように変わっていくだろうと考えていた。しかし、国連への加盟を許しても、世界貿易機関(WTO)へ迎え入れても、世界第2位の経済大国となっても、中国は共産党による独裁が続き、国際ルールを無視し続ける、これまで通りの中国のままだった。国際ルールに従うどころか、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立などを通じて、自分に都合のいい国際ルールを創ろうとさえしている。これまで、アメリカの対中政策の前提となっていた仮説が、崩壊しようとしているのだ。

今回の習氏に対する「国賓待遇」は、すでに始まっている米中の対立をカモフラージュするだけの儀礼に過ぎなかった。そして、あくまでも温暖化問題などで米中の合意にこだわるオバマ政権も、間もなく終焉を迎える。今回の習氏の訪米が、「米中友好」がうたわれる最後の機会となったとしても、驚くにはあたらない。

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