2017/01/10    12:52

「トランプ人事」、真の狙いは?

反エスタブリッシュメントを掲げて大統領選挙に立候補したトランプ氏。貧富の格差などに不満を募らせていた市民が彼にその是正を求めて票を投じた。彼らの支持を集めてトランプ氏は次期大統領に選ばれた。ところが、彼が現在まで閣僚に選んだ人物の大半が貧富の格差の頂点にいる資産家である。閣僚に選ばれた人物の資産の総額は45億ドル(5200億円)だという。オバマ政権の閣僚の総資産は2500億ドル(2880億円)だったことから見ても、1月に発足するトランプ内閣は、「歴代内閣でもっとも資産家の集まった政府」になるというのだ。(Diario Público)貧富の差に苦しんでいる有権者に選ばれた候補者が次期大統領になることが決まり、皮肉にも、その彼が資産家を閣僚として選び、歴代で最も資産総額の多い閣僚から成る政府を発足させることになるのである。
 
トランプ氏はこの批判に対して、「彼らは資産を稼げる職を放棄して、僅かの報酬しか得られない職に就くのである。そして、その決断に誇りを感じている」と述べた。更に彼は、「私は財産を築き上げた人たちを(閣僚に)求める。何故なら、彼らはこれからは皆さん(貧富の格差に不満を持つ市民)の為に働くからである」と言って、彼が単に自分の好みで資産家を集めているのではないということを強調したかのようである。(Diarioveloz.com 24/7)しかし、これは彼にとって都合の良い詭弁であろう。資産家ばかりをわざわざ集めなくても政府の閣僚を務められる人材はいくらでもいるからだ。
 
彼はもともとエスタブリッシュメントにいる人物である。ただ、暴言などを吐くことによって、反エスタブリッシュメント風に振舞っただけである。いざ、閣僚の人選という段階になった時に選んだ人物は米国のエスタブリッシュメントに属するゴールドマン・サックス(GS)やロスチャイルド家から人選しているのである。更に、ロックフェラー家とはキッシンジャー元国務長官を通して接触を保っている。人選のほぼ一番最後に決まった国務長官にレックス・ティラーソン氏が選ばれたのもキッシンジャー氏の影響が強くあったからである。トランプ氏は当初、彼の親友のニューヨーク元市長ジュリアニー氏をこのポストに考えていたが、エスタブリッシュメントからの圧力もあったのであろう。同氏が外国でビジネスを行っているなど不都合な理由を挙げて来たので、次にオバマ大統領の再選で争ったミット・ロムニー氏に打診していた。しかし、彼はエスタブリッシュメントを説得するだけのバックボーンをもっていない。
 
キッシンジャー氏が外交で考えている最終の相手国は中国である。そして、同氏が中国との関係において当面望んでいるのは米国と中国の間で問題の発生を最低限に抑えることである。キッシンジャーの考えには中国との軍事的衝突はあり得ないのである。何故なら、双方が保有している軍事テクノロジーのレベルを考慮すると軍事衝突すれば地球自体を悲惨な状態に導き、地球の破壊を導くようになるからである。しかし、その中国が勢いづいている現状を配慮して、それを牽制するにはロシアとの関係改善が必要であるとキッシンジャーは見ているようである。

その意味から、その使命を果たすにはプーチン大統領とも懇意の関係にあるレックス・ティラーソン氏が最適の人物なのである。キッシンジャー氏はそれをトランプ氏に説いたようである。そして、トランプ氏はキッシンジャーのその考えを素直に受け入れた。それ故に、キッシンジャー氏のCNNとのインタビューの中でトランプ氏のことを、「彼は私が知っている正真正銘の大統領だ」と述べ、「一つの機会を与えてやるべきだ」と語ったのである。即ち、トランプ氏はキッシンジャー氏の考えを素直に受け入れた素直さを正真正銘の大統領だとして褒め、その実現の為にトランプ氏に時間を与えるべきだとCNNで視聴者に向かって示唆したのである。(elrobotpescador.com)彼のトランプ氏への褒め言葉は単なる社交辞令であるというのは誰の目にも明白である。バイデン副大統領はつい最近メディアを利用してトランプ氏のことに言及して「大人としての振舞いをしろ」と言ってやりたいと述べたほどだ。

レックス・ティラーソン氏はエクソンモービル社のCEOとしてロシアのロスネフチ石油会社と北極海と黒海で合弁事業を行てロシアの原油開発に貢献した実績をもっている人物で、ロシアから友好勲章を授与されている。だから、プーチン大統領もこの指名を称賛し、米国との新たな関係が構築できると期待しているのである。
 
また、キッシンジャー氏はプーチン大統領とは長い付き合いがあり、今年2月にも同氏はロシアを訪問してプーチン大統領と会談をもっている。
 
更に、キッシンジャー氏がトランプ次期大統領に期待しているのは、米国が取るべき本来の外交の復活である。同氏にとって、オバマ外交は、米国が本来持つべき国際外交から手を引いたように見えるのである。即ち、オバマ外交は米国が本来発揮すべき外交に反して、コントロールが容易でない地域や分野に外交を展開させて行った。そして、その外交は時の経過と共に事態が悪化するのは明白であるのに、それに外交価値を敢えて見出して外交を展開したと、言及している。イランとの核合意はその典型的な例であろう。
 
そして、米国が実行すべき外交を展開する前に、キッシンジャー氏がトランプ氏に伝えているのは、「我々自身が信頼を回復することである。一連の政治を単に戦術的または自虐的な決定に走るべきではない」ということである。そして、中国のことに触れて、彼らの急激な成長を前に米国は自国の影響力が薄れることを懸念した。しかし、キッシンジャーは、「中国との関係は長期的な観点から国際関係の秩序を形成させて行くことである」と説いて、「米国と中国が協力して世界を安定させることである。その為には、相互の相違点に制限を設けることに双方が同意すべきだ」と指摘した。(legnalenja
 
しかし、これまでトランプ氏の言動を見ると中国と協調するよりも、むしろ対抗意識を駆り立てる方向に向かっているように見える。しかも、トランプ氏がキッシンジャーの外交術を十分に理解し咀嚼できる能力を持っているかも疑問である。中国が主張する「一つの中国」を否定するかのように台湾の蔡英文総統と電話会談をしたり、新しく創設される国家通商会議の議長にこれまでの中国との取引に最も批判的なカリフォルニア大学経済学部教授のピーター・ナバロ氏を任命して中国への対抗意識を表面化させた。更に、あまり注目を集めないが、運輸長官にイレーン・チャオ氏を任命したことである。彼女はブッシュ(Jr.)大統領政権時に8年間労働長官を務めており、メディアを支配するマードック氏のニューズコーポレーションの役員でもあることから、国際関係で重要なメディアでのコネクションがあるということなのだ。しかも、彼女は台北出身の移民なのである。即ち、台湾政府とコネクションを持っているように思える。

中国とのこれまでの取引に批判的なナバロ氏、そして台北出身のイレーン・チャオ氏を運輸長官に任命するというのは、単に偶然の選択とは思えないのである。そこには、台湾を餌にして中国ヘ圧力を加える策を、トランプ氏が取っていくように思える。しかし、それは、キッシンジャー氏が説いている外交ではない。かつて、ニクソンがソ連を封じ込める為に、中国を利用した。今回はその逆で、トランプ氏は、ロシアを利用して中国を封じ込めようとしているのだろうか。

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