2016/09/26    13:30

日本主導のアフリカ開発会議が目指すもの

米国が1990年代にラテンアメリカへの関心を薄くしていた時に、中国はラテンアメリカの資源の開発と輸入を求めて投資を行って同地域に強い影響力をつけた。同様のことがアフリカでも起きていた。米国の影響力が薄れていた時に中国が同じく資源開発と輸入でアフリカに力を入れた。
 
そして、現在中国経済の後退でアフリカとの取引が減少している時に今度は安倍政権の日本がアフリカとの関係強化を加速化させている。
 
第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアの首都ナイロビで8月27・28日の二日間の日程で開催された。日本の主導で1993年に最初の開発会議が東京で開催された。それ以後も、東京で開かれていたが、今回、初めてアフリカでの開催となった。
 
この会議で、安倍首相は民間企業の投資を含めて、300億ドル(3兆円)規模の投資を約束した。その中身は210億ドル(2兆1000億円)の投資と前回の会議で約束したが、まだ使われていない90億ドル(9000億円)を含めたものである。その内の100億ドル(1兆円)は病院、道路、発電所などインフラの発展に充てるとしている(「swiss info」)。
 
前回の開発会議では320億ドル(3.2兆円)の投資を表明し、今回が300億ドルである。1990年代後半からアフリカに積極的に投資して来た中国に比べ、日本は相当に出遅れてのアフリカ進出である。例えば、アフリカとの貿易取引においても2015年の中国の1790億ドル(17兆9000億円)に対し、日本は240億ドル(2兆4000億円)しかない(「swiss info」)。中国のアフリカとの取引はかつての米国を凌ぐほどである。
 
しかし、中国経済の後退はアフリカにも影響を及ぼしており、順調な頃に比べ40%減少しているという(「sputniknews」)。
 
一方の日本は、最近5年間でアフリカへの投資は576%の増加であるという(「ATALAYAR」)。
その上、日本からの投資は現地の雇用を促進させ、テクノロジーやKnow Howの伝授を基本にしている。それを基盤に、現地の自然資源の開発などを進めて、日本はそれを輸入して取引の進展を図るというやり方である。
 
また日本は教育文化面においてもアフリカとの繋がりを深めるプランを実行している。それをアフリカ専門電子紙「ATALAYAR」は取り上げて、5回目の開発会議で安倍首相が提唱した「ABEイニシアティブ」を高く評価している。アフリカの若者が日本で大学教育を受けることが出来る制度で、更に企業で働いて実績を作ることも出来る。2014年は8か国から156人の学生がその機会を得ることが出来たと報じた。
 
中国からの投資については、現地では当初それを歓迎していたが、中国はそこで開発する天然資源の自国への輸入にしか興味を示さず、雇用も基本は飽くまで中国から労働者を連れて来ることであるから、現地の雇用の発展にはならない。しかも、現地労働者を雇用しても中国人経営者との摩擦が容易に起こる。また、投資の約束をしても、その投資がいつになるかわからないといった事態も往々にしてあるという。そこで、中国人経営者は現地の権力者と癒着して問題の回避を図る。これが中国の手口である。
 
最近では、中国国内で外国への投資に市民から批難も生まれるようになっているという。2014年統計で8400万人以上の貧困者がいる国が国内の貧困者への支援をそっちのけで、外国での開発に積極的に資金を投入することに市民が反対しているというのだ(ブログ「AFRICA VIVE」)。
 
それに対して、中国の官僚は外国への投資は国内の発展が唯一の目的であると答えて批判をかわしているという(「LA VANGURADIA」)。
 
日本が相互の経済発展の目的でアフリカの開発を進めているのとは異なって、例えば、米国は中国に奪われたアフリカ市場の奪回に動いている。それは、アメリカアフリカ(アフリコム)軍と呼ばれている軍事組織を基本にしている。この組織の活動は、米国の利益に結びつくアフリカの自然資源を中国を軍事的に牽制しながら確保するというものである。嘗て、白人による植民地支配を受けたアフリカの指導者層にとって、米国のアフリカへの接近は望まない傾向にある。そこで米国が考えた方法は、米国企業が投資している油田開発などに米軍が保護してテロから守ることを約束するのである。或いは、エボラ熱の感染が多発した時には米軍から医療団を派遣している。
 
ナイジェリアはアフリカで産油される原油の70%を産出している。ここはテロ武装組織ボコ・ハラムが根を張っている国である。と同時に、この国の原油は中国が多量に輸入している。米国もそこで原油を産出している。ここでアフリコム軍の出番である。テロ組織の攻撃から原油の採油を軍事的に守ることである。この活動を通して現地の政府と良好な関係作りをするのが米国の目的である。中国はまだ米軍のような軍事活動が出来るだけの軍事力を持っていない。この軍事活動によってアフリカで中国が支配している自然資源の市場を奪うのが米国の狙いである。ちなみに、アフリコムの本部はスペインのアンダルシア州のモロン市に設定された。
 
また、イスラエルは1960年代にはアフリカとは深い関係を持っていた。70年代になると、アラブ諸国との紛争で、アフリカはアラブを味方した。それ以来、イスラエルはアフリカとの関係は疎遠になっていたが、90年代からアフリカの40か国との関係も回復した。しかし、最近のパレスチナ問題で国連でのパレスチナを支持する国がアフリカでも多くなり、それを阻止するためにネタニヤフ首相が7月に現地を訪問した。
 
これまでイスラエルは、アフリカへの進出として警備関係の民間企業の進出を促進してきた。そして各社は現地の人々に防衛のknow howを伝授しており、必要とあらば武器の提供もできるという。
 
そして、イスラエルは多くの分野でハイテク技術を持つ。それらの企業のアフリカでの取引進展に政府が協力するという形で、イスラエルの味方になる国を増やすために行動している。ネタニヤフ首相の7月のアフリカ4か国ウガンダ、ケニア、ルワンダ、エチオピアへの訪問にはイスラエルの企業80社が同伴した(「LA VANGURDIA」)。
 
安倍首相は2023年の日本の国連常任理事国を目指してアフリカからの支持票の獲得のためにも、この開発会議を推進しているが、既に常任理事国の中国の影響力が強い。アフリカを味方につけるのは容易ではない。

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