2017/03/06    11:15

スペイン・カタルーニャ州から優良企業が続々と撤退しているのはなぜか。

スペイン・カタルーニャ州の地元の二つの政党「カタルーニャ民主集中(CDC」と「カタルーニャ共和主義左翼(ERC)」の連合が政権に就いているのであるが、この政府による独立にかける意気込みは凄いものがある。しかし、その動きは企業の成長を犠牲にした動きになっているということに政治指導者は気づいていないようである。
 
カタルーニャの独立を懸念して、同州から撤退した企業は昨年は802社。一方、カタルーニャに進出して来た企業は531社。差し引き、271社がカタルーニャに存在する企業数から減少したことになる。問題はこのマイナス現象が2008年から毎年続いているというのである。即ち、2008年から昨年まででカタルーニャの企業数は2522社減少したという。更に深刻なのは、昨年撤退した企業の中で年商が9億970万ユーロ(1100億円)以上の企業が一昨年に比べ3倍に増えたということなのである(expansion.com)。
 
また、昨年の外国からのカタルーニャへの投資も一昨年に比べ53%の減少を記録しているという(okdiario.com)。カタルーニャの有力銀行の一つサバデイル銀行は、「カタルーニャが独立するようようなことになれば、カタルーニャから本社を撤退させる」と言明している(okdiario.com)。多くの地元企業も内密に本社をカタルーニャ以外の場所に移しているそうだ。昨年8月に公表された「Informa D&B」の情報によると、これまで2000社が内密に本社をカタルーニャ以外の場所に移しているとしている。一番の移転先はマドリードである(okdiario.com)。
 
では、企業は何を恐れてカタルーニャから撤退しているのかというと、カタルーニャが独立すればEUから離脱せねばならないからである。もちろん、ユーロ通貨は使用できなくなる。更に、EUからの支援金や、その他の加盟国に与えられている特権も失うことになる。EUに加盟するには、加盟国のすべての国からの賛成を得なければ加盟できない。しかし、スペインがカタルーニャのEU加盟の反対に回るのは明白であることから、よってカタルーニャはEUに加盟できない。しかも、カタルーニャの多くの企業の取引相手の40%はカタルーニャ以外のスペイン国内市場であり、仮に加盟すれば、スペイン国内でカタルーニャ製品へのボイコットが行われる可能は充分にある。
 
しかも、カタルーニャの州民の半数は独立を望んでいないのである。カタルーニャは1960年代にスペインの地方からカタルーニャに職を求めて住みついた人たちが多くいて、彼らは独立反対派である。独立を望んでいるのはカタルーニャの生粋の一部ブルジョアと共和制を望む人たちである。
 
独立したいという願望の根底にあるものは、カタルーニャが独立しても財政的に採算ベースに乗ると独立派は考えているからである。独立すれば、カタルーニャで収納した税金などを中央政府に収める必要がなくなる。しかも、中央政府からの交付金が常に収納額よりも少なくて困るということもなくなる。よって、財政赤字はEU規定の1.5%から3%以内に収め、対GDPの負債は21%程度で収まると見ているのである(Rafael G)。しかし、現在のカタルーニャの財政はスペインの自治州の中で最悪となっている。
 
スペインの自治州の中で、中央政府に収める収納金と受ける交付金との間で収納金の方が交付金よりも多く収めている州は、マドリード州、バレアレス州そしてカタルーニャ州の3つの州である。カタルーニャ州はスペインのGDPのほぼ20%を担っていることに比べ、カタルーニャ政府は、受ける交付金が少ないという不満を常にもっている。中央政府にすれば、スペイン全域を差別なく発展させたいという願望を持っている。その意味で豊かな州は貧しい州を助けるべきだという考えに基づいて中央政府は政治を行っている。
 
カタルーニャはもともと18世紀初頭まで独立した自治制を施行していた公国であった。ところが、王位継承戦で支援していたハプスブルグ家がブルボン家の前に敗れ、カタルーニャは独立した自治制度失うことになった。そして、フランコ独裁時代にはカタルーニャは独裁政権下で抑圧されていた。この二つの要因が発奮剤になって、スペインが民主化に移行すると、カタルーニャを独立させるのだという願望がカタルーニャの一部ブルジョアの間で生まれたのであった。そして、ラホイ現政権が余りに中央集権制を強め、またカタルーニャ政府の希望を無視し続けたことで、その反動と、独立しても財政的に運営できるという見込みからカタルーニャで急激に独立気運が高まったのである。
 
しかし、急激に高まった独立気運も、最近はその熱も幾分か冷めて、州民の間では、もういい加減に独立のことよりも、日々起きている社会問題に州政府はもっと真剣に取り組んで欲しいという願いも強くなっている。
 
それにもかかわらず、カタルーニャ政権は今も執拗にカタルーニャの独立を訴えて、年内にまた独立か否かを問う州民投票を実施すると主張している。そして、EU本部にも赴いて熱心にカタルーニャの独立意義を説いて回っている。それに対して、独立反対派の市民はそれに使う費用は社会の改善に使うべきだと言って、政治指導者の独立にかける行動を批判している。

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