2016/12/16    12:19

トランプ大統領はレーガン大統領を超えられるか

これまで、レーガン大統領に関する記事を何回か連続して寄稿してきましたが、これにはちょっとした理由があります。

ロイターの「トランプ次期大統領はレーガン後継者か」や、フィナンシャル・タイムズの「トランプ氏が「レーガン流」から学ぶべき教訓(社説)」 のようなオピニオンが出てきているにも関わらず、レーガン大統領の政策が必ずしも期待通りの成果を挙げることができなかった理由が明確に述べられていないからです。

今回は一連の記事のまとめとして、レーガン大統領の治世が残した教訓から何を導き出せばよいのか、書いていきたいと思います。

 

■アメリカ最大の政治的課題は、社会保障費の縮減にある


巷では、アメリカの政治的課題は財政赤字にあるとみているようですが、実際は違います。本当の課題は増え続ける社会保障費をいかに縮減していくかにあります。

社会保障費が増えだしたのは1946年のことですが、この時点では、連邦歳出に占める社会保障費の割合は、9.9%、額は54億9300万ドルでした。では、68年後の2014年の時点ではどうでしょうか。連邦歳出に占める社会保障費の割合は72.0%、額は2兆5255億4500万ドルにまで増えているのです。

1946年以降、社会保障費はわずかながらも増減を繰り返しますが、1951年から一転して増加に転じ、65年後の今日まで社会保障費が前年よりも減ったことは一度もありません。

単純に見て、人口の伸びに比して、社会保障費の伸びは異常であると言えます。これは社会の変化では説明しきれない何かが存在していると、私は考えています。

社会保障費を増やし続ける理由はどのような考えから生まれるのでしょうか。参考になるのは、以下の演説です。

第1に、正義とは、旅をしてきたあらゆる者が大地の実りを分け合うという約束のことである。(First, justice was the promise that all who made the journey would share in the fruits of the land.)

大いなる富の国で、家庭が絶望的な貧困の中で暮らすようなことがあってはならない。収穫の豊かな国で、子らが飢えるようなことがあってはならない。癒しの奇跡の国で、隣人が手当てもされぬまま苦しみ、死ぬようなことがあってはならない。学問と学者の国では、若者は読み書きを教わらねばならない。(In a land of great wealth, families must not live in hopeless poverty. In a land rich in harvest, children just must not go hungry. In a land of healing miracles, neighbors must not suffer and die untended. In a great land of learning and scholars, young people must be taught to read and write.)

この国に仕えてきた30余年間、私はずっと信じてきた。このような、人民に対する不正や資源の浪費こそが、我々の真の敵なのだと。私は30余年に亙り、全力で、絶えずそれと戦ってきた。それが容易には屈しないであろうことは、これまでに学んできたし、承知している。(For more than 30 years that I have served this Nation I have believed that this injustice to our people, this waste of our resources, was our real enemy. For 30 years or more, with the resources I have had, I have vigilantly fought against it. I have learned and I know that it will not surrender easily.)

だが、変化は我々に新たな武器を与えてくれた。米国民のこの世代が終わる前に、この敵を駆逐するのみならず、征服せねばならない。(But change has given us new weapons. Before this generation of Americans is finished, this enemy will not only retreat, it will be conquered.)

これはリンドン・ジョンソン大統領の就任演説です。しかし、レーガン大統領は第一期就任演説で以下のように述べています。

「われわれはみな一緒に、政府の中であれ外であれ、重荷を背負わなければならない。どれか一つのグループが高い代償を支払うために選び出されるようなことがあってはならない。(All of us together, in and out of government, must bear the burden. The solutions we seek must be equitable, with no one group singled out to pay a higher price. The solutions we seek must be equitable, with no one group singled out to pay a higher price.)」


これこそがレーガン大統領の遺産だと私は思います。この一言は無制限に増える社会保障費を減らしていくヒントを与えているのです。

それは何度も指摘しているように「棚卸し」をしなければならないこと、そして本当に必要な政策を遂行するための資源は、平等に負担してもらわなければならないということです。

 

■トランプ大統領への最大の審判は1月20日に行われる


大統領の就任演説は非常に重みを持っています。

私は、トランプ大統領がレーガン大統領を超えられるかどうか、そしてアメリカを真に偉大な国家として再生するかどうかの審判は、来年の1月20日の就任演説において行われるといっても過言ではないと考えています。

この場において、トランプ大統領が端的な言葉でアメリカの本当の政治的課題である社会保障費の問題に光を当て、アメリカに蔓延る金持ちと貧しい人の差別と断絶を排除して、アメリカが再び一つとなることを宣言することを躊躇するならば、この後いくら何を語っても、何をしても意味がないと言ってもいいのです。

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