2016/02/26    15:00

中東での発言力を強めた中国

イランの最高指導者であるハメネイ師(写真右)のもとを訪問した習主席。写真左はイランのロウハニ大統領。


中国の習主席の1月中旬からのサウジアラビア(サウジ)、エジプト、イランへの訪問は中東における中国の発言力を強めるのに役立ったようだ。最初の訪問先であるサウジへの訪問は当初昨年予定されていた。しかし、サウジのイエメンへの武力介入があって延期されたという。その時に訪問していれば、サウジを支援していると世論が受け取るのを避けたいという中国側の姿勢だったようだ。
 
習主席は、過去33カ月で37カ国を訪問しているという。今回の同氏の訪問は、サウジとイランが1月3日に国交断絶をしてからまだ日が浅い中での訪問となった(スペイン紙「El Mundo」)。

中国のサウジとは、これまで政治的な繋がりは薄かった。しかし、イランとの国交を断絶をした今、中国はイランとは特別な関係をもっており、サウジとイランの蔭の仲介国としての役目を担うことができる関係にある。また、貿易面においては、サウジにとって中国は最大の原油輸入国で、中国が世界から輸入している原油の6バレルのひとつはサウジからの輸入であるという。年間で700億ドル(8兆4000億円)の原油を輸入している。

サウジにとって中国が最大の輸入国であるという位置づけと、中国はイランと太い外交パイプをもっているという関係から、中国はサウジへの今回の訪問で同国での影響力をつけたいとしているようだ。

また、その背後には、パキスタンもそれを後押ししている面もある。というのは、サウジはパキスタンの核開発で資金を提供して来た国であり、サウジが核武装を望む時はパキスタンがいつでも核を提供することになっているという。

一方、中国はこれまでインドを牽制してパキスタンを味方にし、同国のインフラ整備に多額の資金を投入している。また、パキスタンが核実験を行い、米国の主導で制裁が課せられた時も、中国はそれを無視してパキスタンを経済的にも支援したという経緯もある。

またイランからパキスタン経由で中国を繋ぐ天然ガスパイプラインの建設費用についても、中国はパキスタンに資金協力している。パキスタンは、中国とサウジの両国から恩恵を受けて来ているのだ。その意味で、中国とサウジが外交面で関係を強化するのはパキスタンの望むところでもある。

しかし、その反面、中国にとってサウジは都合の悪い面もある。中国のウイグルでテロ活動を行っている「ジハード」は、サウジのメッカへの巡礼を利用して募り、トルコでテロ活動の養成訓練を受けているというのだ。勿論、その背後から米国がそれを支援しているという(フランスのニュースサイト「Voltairenet」)。

今回の習主席のサウジ訪問を利用して中国石油化工集団(Sinopec)がサウジの国営企業アラムコと合弁でヤスレフ・ヤンブに建設した製油所のオープンセレモニーに、サルマン国王と一緒に参加した。

2番目の訪問国であるエジプトはサウジと湾岸諸国からの資金援助がなければ破綻している国である。それに中国が支援の提供国として加わろうとしているのだ。スエズ運河の河口でカイロから120kmの拠点に広大な工場団地を建設中だ。この建設に中国は多額の投資をしているという。今回の習主席の訪問でも、135億ユーロ(1兆7500億円)の投資に相当する21項目にわたる合意が交された。また、資金難にあるエジプト中央銀行に10億ユーロ(1300億円)の資金給与とメイン国営銀行に6億ユーロ(780億円)の借款を約束した(スペイン紙「El Pais」)。

中東において、エジプトの政権安定はスンニ派にとって重要な鍵となっており、今回の中国のエジプトへの資金支援はサウジそして湾岸諸国にとっても資金負担を軽減出来る役目を担うことになる。

中国にとってイランは陸路の新シルクロードの建設にとって要の国である。しかもイランは、中国とロシアを含め中央アジアを包括した「上海協力機構」に参加することも決まっている。これは、欧米のNATOに匹敵する。さらに、BRICSヘの加盟も間近だと言われている。

中国とイランが親密な関係にある理由は、イランが10年間の制裁下にあっても、中国はイランとの取引を緩めなかったという背景があるからだ。制裁下でも中国はイランからの原油の輸入を積極的に継続した。また昨年のイランとの核協定でも、中国はロシアと同様に常にイランの味方になったという。

現在、中国において、イランから原油の輸入は全輸入の8%を占めているという。今回の習主席の訪問でも17項目の合意が交され、6000億ドル(72兆円)の投資に結びつくという(スペイン紙「El Mundo」)。

イランの大学の外国語コースでは、英語への人気が下降し、中国語に関心が強まっているそうだ(「Voltairnet」)。

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